的川博士の銀河教室:MMXミッションが挑む世界初のフォボス着陸とサンプル収集の工夫

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉教授である的川泰宣氏による連載「的川博士の銀河教室」の第915回が、2026年11月7日付の毎日新聞に掲載されました。今回は、世界初となる火星の衛星フォボスからのサンプルリターンを目指す「MMX」計画における、着陸とサンプル収集の具体的な工夫について解説しています。

世界初のフォボス着陸に向けた綿密な戦略

MMXミッションにおいて、フォボスへの着陸とサンプル収集は最大の難関とされています。世界で初めてフォボスに着陸するため、入念な対策が講じられています。本体の着陸に先立ち、JAXAがドイツおよびフランスと共同開発した小型ローバー「IDEFIX(イデフィックス)」をフォボス表面へ投下し、地形や環境を調査して安全な着陸地点の選定に活用する計画です。

また、地球からフォボスへの通信には往復で約40分を要するため、リアルタイムでの遠隔操作は不可能です。そのため、MMX本体は搭載されたセンサーとプログラムを活用し、自律的に判断しながら降下および着陸を行う仕組みになっています。